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皮膚病の話

皮膚病の治し方2


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皮膚病変の分布による鑑別


ここまでの栄養療法を実践して頂くと、多くの場合は被毛の状態が驚くほど良化してきます。毛艶は良くなり毛のベトつきも無くなり体臭もフードの過酸化脂質臭が無くなります。

経験的には8割程のワンちゃんでマラセチアや細菌性の感染症がコントロールされるまでになります。

また、このころになると、食物アレルギーや環境アレルギーが存在する場合は、痒みの場所と皮膚の病変部が少しずれてくると言う事も、よく見られるようになります

中には、まだまだ十分に変化の見られないワンちゃん達もいますが、その様なワンちゃんには、次の段階が必要です。

当院での次の段階ですが、身体の病変の分布を詳しく調べます。
病変の分布を調べるのは、栄養状態、栄養の過不足を知るためです。

この栄養の過不足を判定する方法は一般的ではないため、治療で難儀をしている多くの症例は、ここのところでつまずいています。

栄養の過不足は原因によってそれぞれ独特の分布と症状を現します。
そのことは数多くの文献や栄養学の書物などに書かれているのですが、それらをすべて統合して順序立てて見てゆくには相当な熟練を要します。

栄養の不足を生じる原因は様々ですが、多くはフードメーカーの作った体質に合わない栄養基準に基づいて発生しています。

その症状は様々で、それぞれのワンちゃんについて個々に判定する必要が有ります。
したがってこの段階では、実際にワンちゃんの症状を見せて頂く必要があります。

当院では、皮膚の初診のワンちゃんの診察には、およそ1時間をかけています。
そして、栄養障害が発生した理由とメカニズムを説明させていただき治療のプランを立てています

栄養障害の治療は栄養の補給を行えば良いわけですが、根本的なカギとなるのは主に食生活です。 一時的に栄養補給を行っただけでは、症状の改善は長続きしません。 長期に渡って維持するには強化するべき栄養を何から取るべきかをお伝えしなければなりません。

フードでは得にくい栄養をフード以外から取ることに抵抗があったり、ワンちゃんが受け入れてくれなかったりする場合、あるいは手間がかかりすぎる場合はサプリメントを利用していただく必要もあります。
また、急速に改善をさせる場合にもサプリメントは必要です。

そのほか、体質的な理由で栄養障害を起こす場合にも、食事からは摂取しにくいことが多いのでサプリメントは重要です。

一方、栄養障害を適切に判断しないままにやみくもに与えられたサプリメントは、時として逆効果になることもありますので注意が必要です。





皮膚病変の特徴による鑑別
さて、次に栄養性の原因を取り除いたワンちゃんには、皮膚病学的身体検査を行います。

調べる内容は、病変の特徴、丘疹か結節か、毛包を含んでいるかいないか、痒みを主徴とするか脱毛を主徴とするか、などを調べます。

今の獣医療では、その様な事は一番最初に見ておくべき所となっているのですが、皮膚のコンディションが整っていない時には、本来の病気以外の理由でおこる病変が多いため、ほとんどのケースで無駄に終わってしまいます。

前述の要領で皮膚のコンディションを整えたこの段階でこそ、詳しい身体検査が、生きてくるのです。

さすがに、ここから先は獣医師の仕事になりますので、ここまでの皮膚のコンディションを整えてから診察を受けていただければ、治療が比較的スムーズになるのではないかと期待しています。


各種血液検査
病院で行われる次の段階の検査は、血液生化学検査、内分泌検査、アレルギー検査です。

内分泌や内科学的な疾患はこの段階で解明されてくるでしょう。
それらの病気では、あまり迷うことは無いように思います。

一方、アレルギー検査は学会レベルでも異論のあるところで、統一された方向性はまだ決まっていません。ですから、その解釈は先生によってまちまちで、場合によっては飼い主様は調べれば調べるほど訳が判らなくなってくるかもしれません。高い検査費用を払って、さらに混乱を深めた方は数限りなく居られます。

この混乱はまだ当分収拾される気配はありません。

そこで、アレルギー検査について少し詳しく解説をしておきましょう。
これらの内容は、アトピー・アレルギー・免疫学会のセミナーと皮膚病学会の講習会を受けて得られた情報、およびステロイドなどの投薬から開放されて最終的にゴールまで辿り着いたワンちゃん達の経験を元にお話を進めていきます。




アレルギー検査

先に述べたようにアレルギー検査を受けながら、なにも解決に結びつかなかったという話は、巷に数限りなく見られます。

正確に言うと、ここ数年前までは、何も役に立たなかったのです。
W型アレルギーのリンパ球反応検査が解かるようになってようやく診断のめどが付くようになりました。
フードのメーカーは、食物アレルギーのほとんどがT型アレルギーで起こると言っていますが、実際にはほとんど(80%)がW型アレルギーですから、今まで診断が出来なかったのも無理はありません。

実はこのW型アレルギーの検査は、まだ人でも実用化されておらず、世界でも日本だけで検査が可能な最先端の技術なのです。残念ながら、日本の獣医皮膚科学会でも十分認知されているわけではないので、否定的な見方をされることも多いようです。
現在、犬アトピー性皮膚炎として紹介される症例の多くは、アレルギーを専門としている先生方から診るとW型アレルギーであることが多く、徹底した除去食(既成フードでは不可)によって解決されることが多いのです。

それで解かった事なのですが、実際は食物アレルギーの症例は、皮膚病で治療を受けているワンちゃん達の中で、7%前後しかいないのです。

食物アレルギーを正確に診断する事が出来れば、多くの場合、対象の食べ物を除去する事で、ステロイドを含む全ての薬から開放される事が可能になるのです。もちろん、前述の要領で皮膚のコンディションを調整しておけば、の話ですが・・・。


一方、T型アレルギーである環境アレルギーについては、近年アレルミューンという免疫療法の注射薬が開発されて好成績を収めています。

この免疫療法についても私の治療成績と他の先生との間では少し成績が違うように感じます。獣医アトピー・アレルギー・免疫学会では、継続してアレルミューンを投与し続けないと、抑制系のリンパ球Treg細胞が育たないとの見解を示しているのですが、私のところでの症例のほとんどは、6回の治療でIgEが下がって症状の改善が見られます。
その理由で、思い当たるところは、やはり食事の違いです。
過酸化脂質や添加物の影響を受けない食事が良い結果をもたらしているのではないでしょうか。

皮膚のコンディションを整え、W型のアレルギーも除去しT型のアレルギーの多くがアレルギーではない状態にすることが出来るようになったことで、すっかり犬アトピー性皮膚炎という診断名たは縁遠くなってきました。


世間では、アレルギー検査で陰性と評価された時に、数値的な評価の解釈を広げて、アレルギーと診断しようとする傾向がありますが、いたずらに混乱をもたらす可能性があるので、とりあえずはそのまま陰性と評価し、見逃された内容が無いか十分に聴き取りをやり直す事が先決だと思います。

案外チュアブルのフィラリア予防薬を使用していて、それが原因になっていたりするケースは多いものです。たった一粒のチュアブルで3週間蕁麻疹が出続けたケースもあります。

前年には注意をしていたのに、翌年にはすっかり忘れられて、うっかり使用していたというケースが多いのです。

アレルギーはコントロールしたはずなのにボロボロになって再診される場合、必ずこのチュアブルをチェックしなければなりません。


食事のアレルギーですが、先に述べましたようにT型アレルギーとW型アレルギーがあり、それぞれで少し症状の出方が違ったり、治療の方法が違ってきたりします。



食餌性アレルギー
食事性のアレルギーはとても有名ですが、その診断方法は時の流れとともに移り変わっています。
現在、特に気を付けなければならないのは、食物アレルギー検査が陽性でもそれを即診断とはしないことです。

アレルギー検査が陽性でなおかつ臨床症状が伴うこと、つまり食べたらアレルギー症状が出ることが、診断のためには必要なことだといわれています。
それは、20年以上前に行われていた除去食試験がいまでも有効であることを示しています。

世界的には今でも除去食試験による診断がゴールデンスタンダードとされています。
しかし、日本では、安易に血液検査結果を診断としているケースが目立ちます。
そのため、無意味にアトピカやアポキルを投与されているケースを見かけますが、除去食試験を正しくやり直すと、結局それらの薬から離脱できたケースが後を絶ちません。
血液アレルギー検査を偏重しないことが大切です。

さて、病変の出方は、T型アレルギーとW型アレルギーでは、違うといわれています。
T型アレルギーの特徴的な所見は、目の周り病変です。耳や足先や口元にも症状が出ますが、何よりもパンダのような顔になるのが、T型アレルギーの特徴です。




一方、W型アレルギーの出方は、背中を中心に猛烈な痒みを生じることと、苔癬化を生じる病変を特徴としています。



したがって、その病変からもT型かW型か、おおよそ見当がつきます。

そのほかの臨床症状も違っていて、T型アレルギーは短時間のうちに症状が出て、また食物の消化が進むにつてれて短時間のうちに症状が穏やかになってきます。

一方、W型アレルギーは、症状が出始めるまでに数日かかりますが、一旦症状が出ると、消失するのにまた数週間かかります。

中にはT型とW型の両方のアレルギーがでているワンちゃんもいますから、事態はかなり複雑です。

アレルギー検査は半端なく高額な検査になりますが、一項目ずつに分けて検査するなり工夫をしながらすべての検査をすれば、ゴールは近くなるはずです。

ちなみに写真のワンちゃんたちがどうなったか心配される方々のために、治療後の写真を貼っておきます。






食物アレルギーの治療法
 食物アレルギーでは、一般的には低アレルギーの療法食がよく使用されています。
しかし、その使用実態は全てが感心できるものではありません。
 たとえばラム・アンド・ライスのフードが低アレルギー食として市販されていますが、オーストラリアでは、ラム肉に対するアレルギーが最も多いとされているので一概に低アレルギー食とは言えません。
何も知らない消費者には、ラム肉がアレルギーの少ない不思議なお肉として誤解されている事も多く、そういう意味では、ラム・アンド・ライスを低アレルギー食として販売するのは、消費者を騙しにかかっているのではないかと疑いたくなります。
 また、加水分解食の低アレルギー食もよく使用されていますが、W型アレルギーでは、加水分解した食品でもリンパ球が反応してしまう為、残念ながらアレルゲン除去の目的は達成できません。
食餌性アレルギーの治療では、必ずT型アレルギー、W型アレルギーの検査を行い、療法食を使うのであれば、原材料と反応するアレルゲンを比較し、さらにT型かW型かを見極めて使用しなければなりません。
さらに言うと、アレルギー検査に従って食材を選んだとしても、必ず負荷試験をして、その食餌でアレルギー反応、あるいは食物有害事象が発生しないかどうかを確認しなければなりません。
 もう一つおまけで言うと、使用するサプリやステロイド剤にも基材としてトウモロコシデンプンやジャガイモデンプンが使用されていることが多いので、それらに対してアレルギーがある場合は、必ず注意が必要です。




脂肪酸療法

皮膚のコンディションを整え、アレルギー検査も終了し、アレルギーである事が確定して、毛艶も申し分ない状態で痒みがまだ残っている場合には、その痒みのコントロールが必要になります。

ステロイドも抗ヒスタミン剤も、シクロスポリンもインターフェロンも使用をしない場合には、代替療法として幾つかの選択肢があります。

その中でも代表的なのが、脂肪酸療法です。

脂肪酸療法で使われるのはオメガ3、オメガ9シリーズの脂肪酸です。

しつこいようですが、皮膚のコンディションが整っていない状況では脂肪酸療法はその力を十分に発揮することはできません。
特に、感染症が相変わらず見られる場合はコントロールが出来なくなります。
脂肪酸療法による痒みのコントロールは感染による痒みに打ち勝てるほど強力なものではありません。

感染コントロールにオメガ6シリーズの脂肪酸であるリノール酸が大きくかかわっている事から、早期の脂肪酸療法は混乱をもたらす事が多いのです。

オメガ3系もオメガ9系も不思議な魔法の薬ではありません。
脂肪酸療法は日のあたらない不遇な状況ですが、その研究は驚くほど進んでいます。その理論を理解していれば、実に合理的な治療方法なのですが、残念ながら正しく理解されず、その一方で、得られる大きな効果から、魔法の薬的な扱いになっています。
逆に、正しく使われずに評価を落としている面もありますが、正しく使えば、薬なみの効果が見られることも珍しくありません。



   
  



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