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食餌の話


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人間の食べ物を犬に与える話 塩編2



塩が足りない?

そんなことは有り得ないと思っていませんか?

塩が足りないワンちゃんがどんな行動をするでしょうか?
もし、これから出てくる症状に少しでも心当たりがあったら、一度考え直してみてはいかがでしょうか?


軽症の場合


散歩に行くと、よそのワンちゃんのオシッコを舐める。

土やコンクリートや壁などを良く舐める。

オシッコをした後に入念に(必要以上に)陰部を舐めている。

足の裏を良く舐める。

人の手や足を良く舐める。
 (とくにお父さんなど、よく汗をかいた人を好む)

使った後のティッシュを食べようとする。

お風呂の排水口付近の水を飲みに行く。


塩分の足りないワンちゃんは、その不足分を何とか補おうと、さまざまな努力をします。

一番良く見られる行為は、身近にある塩分をすぐに取り込もうとする努力です。飼い主様には奇異に映る行為も、ワンちゃんたちには切実な思いから来る行為だったりするのです。

その中のひとつ、傷口を舐めると言う行為は、傷の治りを遅らせるだけでなくいっそう悪くしてしまう可能性があります。

ちょっとした傷口がなかなか治らない場合、このような問題によって妨げられていることが多いのです。


また、陰部や内股を舐めすぎて、毛が茶色に変色したり、皮膚が赤くなっていることもあります。


このような症状のワンちゃんの身体検査をすると、口の中が乾いていて、指で触っても唾液がつきません。

また、目も乾きがちで、白っぽい粘液状の目やにが見られることもあります。




重症の場合


重症になってくると、

シュウ酸カルシウム結石が出来やすくなります。

オシッコの色が濃い黄色になってきます。

腎臓の数値が上がり始めます。

手術の麻酔時などに不整脈が観察されるようになり、安定した麻酔が得にくくなります。

軽い下痢・嘔吐でも動けないほどの症状になります。

シュウ酸カルシウム結石の発生原因の大きな要因として、ナトリウム不足が挙げられるという研究結果が出ています。

人のケースでは、腎臓の数値が上がり始めると、塩分制限が始まりますが、人工透析が一般的ではない動物医療の世界では、点滴が一番有効な治療手段になります。また、その治療効果はとても有効であると評価されています。

最近、麻酔で死亡するケースをよく耳にするようになりました。
麻酔モニターも、麻酔薬も格段に発達してきているのに、そのような話は増えてきたように思います。

確かに、塩分摂取量の少ないワンちゃんたちは、術中の酸素飽和度が下がりやすく、腹腔内にリンゲル液を入れることで元に戻ります。


嘔吐と下痢は、体内の塩分を大量に外に漏らす機会になります。
したがって、初めから蓄えの少ないワンちゃんは、いち早く倒れてしまいます。
治療では、喪失量を計算して塩分を投与しますが、その量は想像を遥かに超える量で、その量を早急に取り戻せない場合は、病気が長引き、更なる下痢・嘔吐を繰り返すことになります。




極限状態の場合


そんなバカな! と思われる状況が現れます。

意識状態が朦朧(もうろう)とし、飼い主様への反応が著しく鈍くなります。

運動能力自体も衰え運動障害や椎間板疾患と誤診されます。

内臓機能の限界から下痢をおこし、腎機能検査の値が跳ね上がります。


いままでに、何度か神経疾患に間違えられたワンちゃんを診た経験が有ります。
確かに、足元がフラフラしていて、いわゆる千鳥足の状態ですぐに座り込んでしまいます。 膝蓋腱反射は正常なので上位の神経が抑制されたように見えます(椎間板ヘルニアなどの症状)。

しかし、飛び直り反応等の神経検査が正常であることから、神経疾患としては矛盾が見られます。

このようなワンちゃんは、血液量の不足がもとで、麻酔をかける検査には耐えられず途中で絶命する危険性がありますから、その前にするべきことをしておかなければなりません。

しておかなければならないこととは・・・、そう、塩分を与えることです。 十分な塩分を与えることで、意識状態が元に戻り、普通のワンちゃんに戻っていきます。

CTやMRIなどの高価な検査と、椎弓切除などの手術が必要と言われてきたワンちゃんが、一杯十円そこそこのお味噌汁を数日間続けただけで、もとの普通のワンちゃんに戻ってゆくのです。

このような状態に陥るケースでは、飼い主様が塩分を与えることに抵抗されることがあります。

そのようなときには、迷わず点滴をします。

点滴は、どの飼い主様にも受け入れられやすいので、スムーズに事が運びます。
しかし、費用は一回で¥2000円程かかりますから、一杯¥2000円のお味噌汁というわけです。(そんな高価なお味噌汁があるのでしょうか?)


このような出来事は、実はアスリートの人たちにとっては理解がしやすい、あるいは、経験が有ることなのです。

マラソンランナーが、痙攣を起こしたり朦朧とするのと同じなのです。

このような状況で、不用意に水を飲ませたりすると、死んでしまいます。

夏場に大型犬が散歩から帰って水を飲んで、数時間以内に死亡するケースの多くはこれに当たります。

鼓張症と間違われる事がありますが、同じ甚急性とはいうものの、鼓張症には特徴的所見が有りますから鑑別はそれほど難しくはないはずです。






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