人間の食べ物を犬に与える話 オイル編①
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人間の食べ物を犬に与える話 オイル編1
人間の食べ物は、脂っこくて身体に悪いというようなことで、犬には与えてはいけないと言われることがあります。
この話は、根本的に間違っている話です。 もし本当に身体に悪い脂をワンちゃんに与えたくないと考えるのならば、すぐにでも、ドッグフードはやめるべきです。
身体に一番悪い脂が、そこに入っているからです。
実は、身体に良い油と、悪い脂とは、常に入れ替えて話されることが多いのです。
一般的に、油がいけないと言われる理由の一つとして、コレステロールの問題など循環器系への影響を心配されることが多いと思います。 そこで、まずコレステロールに関する問題を整理して行こうと思います。
コレステロールについて
コレステロールが動脈硬化など循環器系に影響を与える事は良く知られています。
そのため、血液中のコレステロール値が高くなると、食餌から脂肪分を減らす努力を行うことが良くあります。
しかし、血液中のコレステロールは、そのほとんどが肝臓で合成されています。
したがって、食餌の中のコレステロールを減らしても、血中コレステロールは、思ったほど下がらないのです。
また、血中コレステロールは、脳や心臓など、体中いたるところで使われています。 つまり、コレステロールは、身体にとっては絶対必要な物質で、それを体内で合成していると言うことなのです。
現在、コレステロールの研究者の間では、血液中のコレステロールが上昇する理由は、食餌中に含まれるコレステロールの量とは、ほとんど無関係と考えられています。
実は食べたコレステロールが多かったのではなく、作る肝臓側と、使う側の脳や心臓や筋肉などの連携がうまくいっていないことが原因だと考えられています。
中でも、LDLコレステロールの上昇は総コレステロールの上昇より深刻であると考えられていますが、今このLDLコレステロールの中でも超悪玉の酸化LDLコレステロールが注目されています。
この酸化LDLコレステロールというのは、肝臓が新しく作ったコレステロールを脳や心臓や筋肉に運ぶ際に利用しているLDLというものに酸化した脂肪酸が混入してしまったものだと言われています。
そして、酸化LDLコレステロールは、電荷の関係でコレステロールが外れなくなると言われており、そのため、脳や心臓や筋肉は新品のコレステロールを受け取ることが出来なくなります。
さらにコレステロールを下げる薬(肝臓のコレステロール合成阻害剤)などを使っている場合には、心臓や筋肉はコレステロールが枯渇してしまいますので、横紋筋融解症という筋肉が解けるような現象を起こしてしまいます。
一方、コレステロールを渡しそびれた酸化LDLコレステロールは行き場を失い、血管に沈着して動脈硬化を起こすと言われています。
幸い、最近の研究では、ある種の抗酸化物質が、酸化LDLコレステロールの過酸化脂質を取り除いて、コレステロールとLDLを分離することで、動脈硬化で沈着していたコレステロールが外れることが報告されています。
そのほか、受け取り側のレセプターが酸化して、機能しなくなったという研究結果も出ています。
まとめると、酸化ストレスが、LDLコレステロールやレセプターを酸化させて体内のコレステロールの調整を邪魔していると言うわけです。
つまり、酸化している食べ物、さらには酸化している脂を含んでいる食べ物が、一番高コレステロールの問題を引き起こしやすいと考えられます。 と言うことは、ドッグフードこそが一番コレステロールを上昇させやすい食べ物なのです。
また、基礎医学の世界ではリノール酸とオレイン酸が血中コレステロールを下げると言う事が良く知られています。 つまり、サラダ油、オリーブ油、ごま油等は、コレステロールを下げる働きがあるのです。
ひところ、揚げ物の油は、熱で酸化してしまうので、良くないと言われた事も有りますが、今ではかえって熱で酸化した油が破壊されるので、良いとも言われています。
ということは、ドッグフードの脂は血液中のコレステロールを上げてしまい、それを人間が食べている揚げ物が、下げる働きをしてくれるのです。
ですから、人の食べ物が油っこくてワンちゃんの体に悪いという根拠などは、どこにも存在しないのです。
このように、事実とは違って、ワンちゃんの身体に良いものと、悪いものは入れ替えられて語られているのです。
これが、今、巷で語られている誤った噂話の典型です。
油の話は続きます